ハーモニカ(10ホールズ)の技術のひとつ「ベンド」のやり方やコツについてご紹介いたします。ハーモニカのベンド奏法はギターでいうところの「Fコード」のようなものです(ギターできないから、知らないけれど)。
なんとなく難しい表現をしましたが、ひとことでいえば「ベンド」という部分はハーモニカの最初の壁であり、初心者が挫折してしまいやすいポイントです。そんなベンドについて、まずは原理を説明いたします。
ベンドとは?
bend――「曲げる」という意味です。
ここで曲げるものは空気。そして空気が曲がることによって「音」が曲がります。原理としてはリードプレートが異常振動を起こすからです。これを「ベンド」奏法といいます。
ベンドには「ブローベンド」と「ドローベンド」の2種類があります。それぞれの意味は以下の通り。
brow――「吹く」
draw――「吸う」
つまり、それぞれの意味をあわせると以下の意味になります。
・ブローベンド
→吹いて音を曲げること
・ドローベンド
→吹いて音を曲げること
音を曲げる目的は?
ハーモニカでは音を曲げることにより最大1音半さげることができます。「C」のキーのハーモニカ(10ホールズ)を見てみましょう。
オクターブが完全に揃っているのはまんなかの第2オクターブ(4~7)の部分だけです。
第1オクターブと第3オクターブはでない音がいくつかあります。
たとえば第1オクターブ(1~3の穴)ならば「ド、レ、ミ、ソ、ソ、シ」という順番になっていて「ファ」と「ラ」の音がありません。この足りない部分の音をベンドという技術をつかってだすというわけです。またベンド奏法では半音さげて「#(=一音まえの音から半音あげた♭)」の音をだすこともできます。
ベンドがかけられる穴は?ベンドしやすい穴は?
基本的にベンドは10個の穴すべてでかけられます。基本は以下の2つ。
・1~6は「ドローベンド(吸う)」のみ
・7~10は「ブローベンド(吹く)」のみ
ただし「5」の穴と「7」の穴は例外のようなものと考えてください。その理由は以下の通り。
5の穴をふつうに吸うと「ファ」の音がでます。
そこからベンドをかけ半音さげても「ミ」の音とのあいだには、もともと半音しか差がないので意味がありません。
同様に7の穴をふつうに吹いたときにでる「ド」の音も、「シ」の音とのあいだにはもともと半音の差しかないためベンドをかけても意味がありません。
ちなみにベンドをかけやすい穴は「4」の穴です。そのためベンドの練習は「4」の穴で始めることがコツです。
これがベンド奏法の基本です。次はベンドの吹き方・吸い方についてのお話しです→ベンドのコツ・練習方法